下の子あすみ、もうすぐ1才。保育園に行き出してもう半年近く経つけど、未だ家にいる間は授乳を続けている。今日も夜中の1時過ぎにあすみのぐずぐず声で起きると車の出る音。旦那が酒蔵へ向かったようだ。
11月に入って本格的に酒造りが始まっている。今年で4年目になる酒蔵は自前の田んぼで収穫したお米から日本酒を造るめずらしい蔵。旦那も先月は毎日稲刈りで農作業をしていた。
旦那は冬の間お酒造ってます、と言うと大抵の方が驚かれて、えっどういうこと!?という説明をすることになるのだけれど、なんてことはない、普通の食品製造業の会社員と一緒、造っているのがお酒だというだけの話。今の時代は・・・なのだけれど。
日本酒は本来、冬の寒い時期にだけ造られるもの。
夏の間は自分の家の田んぼで米を作り、収穫が終わったら杜氏さんが自分の下で働く人を引き連れて県をまたいで出稼ぎに出る。お酒を造る人=杜氏、とよく勘違いされるけれど、杜氏はTOPの偉い人だけでその下で働く人たちは皆「蔵人(くらびと)」と呼ばれる。
大抵の人たちが農家だ。出稼ぎで酒蔵に来て半年間泊まり込みの缶詰になって働いて1年分稼いで国へ帰って行く。
ほとんど休みもない集団生活、大吟醸の仕込みの時期は夜も1時間おきに起きて麹のお世話をして日が昇る前からまたその日の仕事が始まる。賄いさんが作るご飯だけが毎日の楽しみ。
杜氏の手がキレイだからこの化粧品が生まれましたなんてアホみたいな嘘八百話で、ほとんどが水仕事だから手は荒れに荒れ、寒さでしもやけを作りほとんど日に当たらない生活になるから顔面蒼白、蔵が始まる前と後では体重が10kgも落ちて人相も変わる・・・
23才の時に脱サラして酒造りの世界に入った旦那は、新潟の杜氏さんの下について日本全国あちこちの蔵を転々とし、杜氏さんから独立した後もフリーの蔵人として雇ってくれる酒蔵を探し、半年間ギリギリのところまで自分を追い詰めて酒造りに没頭する生活を送っていた。
その反動で夏の間は太陽を浴びまくる生活に至るのだけれど(笑)
いわゆる季節労働者。農家は減り若者は安定した仕事を求め、当たり前の話だけれど時代に合わない働き方になっている。旦那も結婚してから県外の酒蔵への出稼ぎはやめて、岡山の蔵で働くことになった。正確には1年目はヨメをおいて出稼ぎに行ってしまったのだけれど。
結婚式を挙げた2ヶ月後に('Д')笑・・・とまぁそれはまた別の話。
岡山はどこの酒蔵も通年採用の社員を雇って、一年を通してお酒を造る「会社」になっている。岡山に限らずおそらく全国的にその流れで、蔵によってはリキュールやビールも製造していたりする。
旦那がお世話になっている酒蔵も旦那以外は皆社員さん。岡山にも【備中杜氏】という杜氏集団があって、かつては仕込みの時期だけ蔵人が来て泊まり込みで酒造りをしていた。社員さんが酒造りをする今は、皆自宅から通って日によって夜、麹の担当や杜氏さんが様子を見に何度か蔵へ顔を出すようになる。
昨晩は急に冷え込んだので気になって見に行ったのだそうだ。酒造り期間中、夜ぐっすり眠れない生活が沁み付いているのだろう。温度管理のかっちり出来る設備を持っている酒蔵ではそんな仕事ももう必要ないのだろうけれど。
見て覚えろの職人の世界。
どんなにきつくてもあと何日で終わりと思えば
耐えられる極限の精神状態。
失敗した年には自ら命を絶つ杜氏もいたというほどの緊張感。
否応にも春の有り難さを感じ自然の恵みに
感謝せざるを得ない環境。季節とともにある生き方。
今の時代には・・・合わないかもしれない。
でも今の時代だからこそ見直したいな、と思うしやっぱり私はそんな世界が好きだ。旦那と私はきっと仕事に求めていることは違うけれど、季節を感じて自然に感謝して暮らしていきたいなぁ。そこはきっと一緒だと思う。じゃなきゃ好んでこんなクソ寒い古民家になんか住まない(笑)
時代と共に職人も酒造りも在り方が変わっていく。今の時代に合った酒造りは、もう旦那が求めている命を懸けるほどの緊張感のある世界ではないかもしれないけれど、どんな形でもいいから日本の良いものが後世に残っていってほしいなぁと思う。
そしてやっぱり今の時代のいいところ、誰もが何をやっても自由で自分次第で可能性が無限に広がる時代。誰もがこれだ!と思う環境でその道でイキイキ輝いて働いてほしいなぁと思う。
早くお酒も飲みたいけれど・・・もう少し授乳も続けたい。
おっ!やっと娘の話に戻った(笑)二人目の子供。孫か!!!!っていうぐらい可愛くて仕方ない。てことはやっぱり孫の可愛さってのはこんなもんじゃないんだろな。上の子の時も同じことを書いてた気がする(;^ω^)
しっかり子供の成長を楽しもう。
子供たちも旦那も私も、来年の今頃は何をやっているかなぁ(^^)
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